素粒ドライバー
北斗七星





生き抜いたあとに
待ち合わせの場所で
僕はどんな顔をしているのだろう


風の吹く
この場所は懐かしく思えるのだろうか


はぐれた人との再会は
何かを教えてくれるだけのものなのだろうか


経験は景色の流れ

立ち込める霧は晴れるのだろうか


生き急ぐ為に車を走らせ
助手席には変わらない
若い自分が窓の外を見つめている


嵐の雲は生きているように
かたちを変え心を躍らす

鐘を鳴らす鼓動に
手の震えは
かたちを変え心を躍らす




見てくれ

見てくれ

指先が想いを巡らす


誰かが常識の犬を散歩させながら
横目で聞こえないふりをして通り過ぎる

それでも鐘は鳴っていたんだ
以前からの場所で約束通り


声はかすれ


声はかすれ



嵐の雲は生きているように

そして

鐘を鳴らす鼓動は




壁のように立ち塞がる
霧を払いのけていく




こちらを振り向いた助手席の
僕の顔は微笑んでいたように見えた

そう見えたんだ


まぎれもなく僕は
まぎれもない僕の

ぼんやりとした
横顔を見抜いていた




その鐘は鳴り続いている

今も

以前からも








自由詩 素粒ドライバー Copyright 北斗七星 2008-11-19 21:18:00
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