発見されてから
もう百年はたっているというのに
大人になったら何なのか
あいかわらず知られていない謎のプランクトン
Ｙ幼生

それでも最近
やっと観察ステージが一つだけ進んだらしく
イプシゴン
という名前をもらったそうです

もっとも謎がっているのはひとだけで
イプシゴンは
イプシゴンたちなりのライフサイクルに忙しく
今日もどこかで変態したり
繁殖したり
捕食されたりしているはず

ひとは安心していていいのです
海の謎が尽きることは当分ないのですから

たとえば
宇宙の真空とひとの世界となんて
たった一気圧の差でしかないけれど

海は深い
とても深い
ほら
こんなに隣り合っているのに