甘い雨
かいぶつ

街には雨が降り
明度と色合いの
均衡が崩れてゆく
すべてはモザイクがかり
街灯が路上で溺れている

色とりどりのパラソルが咲き
人はその中で足首を濡らす
少しずつ雨水を吸水してゆく
甘みを増し
人間味を増してゆく

人は水分を
含み過ぎているから
時々、熱を帯びて余分な水分を
蒸発させる必要があるんだ
熱で分解された
甘みと一緒に

空には人の甘味が
程よくブレンドされた
蒸留水の海が広がっている
明日降る雨は
今日よりもっと
甘い

そして明日歩く
君や、僕も
今日よりずっと
甘くて、つややか


自由詩 甘い雨 Copyright かいぶつ 2008-11-17 09:24:58
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