いつくしみ
恋月 ぴの
秋鮭って捨てるところ無いんだよね
骨や皮まで美味しくいただけるし
そんなこと話してみたら
「人生だって同じだよ」
あなたは秋鮭のルイベを美味しそうに頬張った
だと良いけどね
なんにもする気がしなくて
日がな一日ごろごろすることに
正しいと思って一生懸命やったことが
まったくの勘違いだったことにも
それなりの意味があるのかな
スーパーで買ってきた特売のルイベ
ちょっと生臭い気もしたけど
あなたは文句一つ言わずに私の分まで食べてくれて
あのさ、美味しいルイベ食べに行きたいな
だとすると北海道かな?
冬の北海道って寒そうだけど
その寒さにもきっと意味があるんだよね
飛行機なんかじゃなくて
北斗星号とか寝台特急に乗って
流れる車窓をいつまでも眺めていたい
月明かりに浮ぶ穢れ無い雪景色と
人生の在り方
そして、私の隣りには気難しそうなあなた
眼鏡の奥で笑ってる