えりくさちえい

すきまなく落ち葉の積もった
狭い庭を抜ける
Cの存在をつれて
勝手口から上がると
嵌め込まれたCの色が濃くなる
かつて
無くせなかった幼稚な苛立ちを
床の木目から目を逸らさずに
Cに告げたことのある
冷たく暗い廊下で
なおもCは濃くなっていき
やがて目の前に出来上がる
目を青白くくりぬいて遊ぼう
寒空だけを見て
下手くそ同士でキャッチボールしようと
公園にCといて
その姿が間違いなく
Cだということ以外が
まざまざと証明されていく
光りながら
そして腐り
足元にぼとっ、という音を立てて落ちる
子供達が遊ぶ冬の公園には
鉄柵から
すっと抜け出るものがあり
物悲しく
帰りを待つお母さんの手のひらに
いつか飛んでいく
網膜に霜が降りるような日に
春はとても想像し難く
ただぎこちなく
手から放たれるだけのボール
航空障害灯のランプ赤く



自由詩Copyright えりくさちえい 2008-11-16 00:53:53
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