透明な魚

僕がかろうじて息ができるのは
君が此処にいるから
僕の呟きは白い息となって空に映る


僕は思考の果てで絵を塗り続けている
僕の世界は誰かにとって難解で・・・
僕は何故難解であるのかを識らなければならない気がする
世界は例えば繋ぎ逢う掌
皆が手と手を繋いで空に歌えばいい
この世の不条理が必然で
最初から壊れた精密機械を与えられているのなら
僕は発狂寸前の心で
其れでもなお
正しい音色を求めるだろう
時が誰かにとって苦しみで言い様の無い悲しみを齎すとしても
僕は壊れた機械と時を遣い
僕を救う術(其れは或る意味で誰かを救う事なのだけど誰かを救えると言う事はつまり
誰かが僕を救えると言う事だから僕は誰かを救う事は僕を救う事だと認識している)を
考えなければならない
時は与えられている
僕らは個人個人の僅かな時を持ち寄って
歴史という物語を構築している
僕が持つ僅かな時間の中で
僕は僕を理解して僕の思考を完成させなければならない
僕らは皆各々の時の中では不死なのだ
死は何かと言えば
つまり託すと言う事なのではないだろうか?
自分の持つ時間(其れが一秒でも刹那でも)が唯一光を持ち僕等を守る
肉体はどうしても滅んでしまう
心臓が停止すれば僕は思考する事は叶わないだろう
しかし思考というシステムが完成していれば
時がenergyとなって僕を再び駆動するだろう


僕がかろうじて息ができるのが君の笑顔によるものだとすれば
僕は其処に畏怖を覚える
世界が最初から修復不能なまでに壊れているのなら
僕らは何故理想を思い描く事ができるのだろう?
答えは・・・



自由詩Copyright 透明な魚 2008-11-15 20:57:37
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