ふたたび
紫野


 ごう の音に

 足をすべらせた

 わざと すべらせたのだ


 首もとに

 ゆりの匂いがする

 或いはくちなしの。 口 なし  朽ち なし



 黄土色の河

 あおむけに 溺れる 

 いきものや 果実 廃のもの 果実 屍 屍

 ともに ながれようよ

 それぞれに 日がさしているよ 美し

 水の速さ 音の 速さ



 おまえ 大丈夫 と

 声がする


 だいじょうぶ ダイジョウブ

 いたって すこやか

 クチナシの 匂いがするよ


 暫し 待ってて

 いちど 潜る




 おまえ 大丈夫 かい



 いや


 アナタガコチラニオイデ








自由詩 ふたたび Copyright 紫野 2008-11-15 20:07:28
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