白昼夢
しもつき七




とてもしなやかに
折れ曲がる森があったので
そうではない多くの部分は昼と呼ぶことにしていた
迷い込めない、かくれられない、だからみんな怯えて
おびえるべきであって


きみが発光体であることに
初めて触れたとき、森は泣いたとおもう
傷口から血がもれださないように
かくまっていた光だったのにね


もっと
尖れ尖れと
はがれていく/こわされながら/うまれながら




あれが焼失だったんだ。森はたおやかな両腕できみをしめつける。左右の回転覚なんてもう奪われた、六月の蒸したにおい。うそにできないんです、その名前を

おそろしかったね




暗くならない昼
やかましいようなのに、少しもうるさくない
だからよけいにこわいのですと
いたくないのに血
ながれる
とまらない
のは




盲目になれ
視力も平熱も当てにはならないなんて怒って
ぬるい昼
つめたい森



きみには光がみえなかった。森でなければ海だった。迷子になってしまいたいと泣いて叫んだ(できるだけ真摯に)たぶん呼吸しかないんだよ



帰ろうとすると、両足がなくなっていた


自由詩 白昼夢 Copyright しもつき七 2008-11-14 20:04:43
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