孤児院ジャンキーの告白
滝沢勇一


ねえ、あたしに指輪をひとつちょうだいよ愛なんてこもんないでいいから。

赤い階段の赤いコンクリートに溜まった水に映る青空

偽物でいいから見せてよ満天の星空場所はプラネタリウム

長くても覚めてしまえばそれは夢さめなきゃ一瞬だって現実

セックスを重みにしよう体重に届くっくらいたくさんしよう

たった今もし目をつむったら瞼色の暗闇しかみえないよ

飛べよそら飛べよそら飛べ鳥人間誰も見てない今だ飛んでけ

幸福な神が見ている世界には歓びと愛が満ちてる。さみしい。

どうしても諦め切れないものがある。それはごくありきたりの家庭。

ばかみたくいっつも誰かといるけれど独りの瞬間はやっぱ、こわい。

ヒトラーはみんなころしてひとりきりさみしくないの?あたしさみしいの。

冬眠をするかのように眠ろうかそれともそのまま死んでしまおうか

眠っても眠っても死ねなかったから睡眠と死は別物と知る

青いジャムは身体に悪いっつったろう?死にたくってもそいつを舐めんな

悪魔でもいいよそいつが「君のこと好き。」って言うならそれで、最高。

寒いから身体の温度も奪われて一緒に消えたあったかい記憶

孤児院でジャンキーになろうって言ったらいいよと笑った女に惚れた

こんなにもこんなにもやさしさがぬくもりが欲しい欲しい欲しいよう。

「なあお前、バニラアイスをこぼすなよ。」「ボタボタ落ちて白い血みたいね。」

真鋳の針金歪めて7号のリングを作ったからお前にやる


短歌 孤児院ジャンキーの告白 Copyright 滝沢勇一 2008-11-14 16:37:31
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