楽園の柩
水島芳野

まるで夜空のような人だと思った。
それも、秘めやかな曇り空のような。
隠された月や星を私が見ることは叶わないから
まだ酔っていられる

そんな浅はかな思いで。



 こんなみじめな箱庭の中で
 どうして幸せになれるというの、と
 白い頬をした少女は呟いた
 そんな願いごと、もう潰してしまいなよ



小鳥がまだ呟いていた
あなたはまだそこに居るというの
いつ砕け散ってしまうとも知れないというのに。



 人は星のようね、アダム
 誰も彼も、その身を焼き尽くしながら駆ける人に願いを託す。
 いつ消えてしまうかもわからないくせに、


そんな浅はかな願いで。



 鮮やかだと笑っておくれよ、イヴ


 どうせ君はまた罪深いその紅玉をもぎ取るんだろ?


あなたも私も神様も
私はみんな大嫌いよ
だけど同時に大好きよ



私は星にはなれないもの。



自由詩 楽園の柩 Copyright 水島芳野 2008-11-13 23:09:29
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