昼の月 夜の太陽
石瀬琳々
昼の月が
うすく広げた空に突き刺さって
鳥がはるか弧を描く
海には舟が帆を上げる季節
だけど二人して手を振るよ
ナイフを研いで
ランチョンマットの上で旅をする
私たちの恋ははじまったばかり
ラズベリジャムが唇にこびりつき
白い歯がこぼれる
モンシェリ 手をつないで
浜辺を駆けてゆこう
*
夜の太陽が
暗い森の彼方で燃えている
落ち葉が雨と降るなかを
肩寄せて歩く内緒の小径
そして二人にも秘密がある
焚き火を囲んで
胸をひらいて明けないものを探す
私たちの恋は終わりがない
ウールブランケットにくるまって
やさしさに落ちてゆく
マシェリ 手をはなさないで
このままどこか遠くまで