橋、滝に続く小径で
たりぽん(大理 奔)

雨滝に続く道は
聖堂のように光がそそいでいます
昼下がり、ステンドグラスの森が
橋に季節の色を映して
敷き詰められた落葉の絨毯は
通り雨の跡のように
濡れていてるのです
長い階段を下りていくと
ちいさな朱い橋がみえます

橋の向こうに道は続いています
境界線を越えていくというかたちが
遠い音を立てて砕け散った滝から
流れ出したものを越えていきます
冷たくて透明なものを
越えていくのです

   橋でいいと思うのです
   世界を変える、とか
   悲しませない、とか
   そんな嘘はつきたくなくて
   ただ、はるか彼方まで
   いつまでも届いていきますようにと
 
立ち尽くすと残像のように
雨乞いの傘踊り
遠く、砕く音の続く祭壇に
幻の鈴の音
激しい干ばつの夏でも
決して涸れないという滝から
流され続けるものが
清らかでとうめいな水だけであると
信じることができません

だから、この境界線でその足を
濡らすことがないようにと
わたしは小さな橋になり
大切なひとの背中が見えなくなっても
ずっと、ずっと
いつまでも

届いていきますようにと


自由詩 橋、滝に続く小径で Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-11-13 00:33:34
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