たかい、たかい
氷魚

幼い子供に生えた
二本の白い腕が
寂しくなって騒ぎ出す
持てるだけの空洞が
全部そこに集まるから
両方の肩の関節が
どんどん膨れ上がる

肘を伸ばす
突き出た骨が笛を吹く
掌をひらく
盲目の少年が
呼ぶ

おとうさん

指先は
一本の白樺のように
連なったままで
揺れる

そう
こうやって
人間のからだは
愛されるところまで
伸びていくのだ



自由詩 たかい、たかい Copyright 氷魚 2008-11-12 12:12:53
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