青い駱駝
nonya


とある快晴の昼下がり
異常乾燥のせいでもないが
うたた寝していた青い駱駝は
うっかり空から剥がれ落ちた

ここは都会のど真ん中
駱駝が降ってきたと大騒ぎ
けれども青臭いだけの駱駝
すぐに飽きられほったらかし

青い駱駝の目の玉は
色しか見えないド近眼
自分とおんなじ色を探して
ぽくぽく街をさまよった

あつあつカップルはふやけた桃色
生意気な子供は頼りない水色
綺麗なお姉さんはくすんだ紫色
くたびれたオジサンは濁り過ぎててわからない

途方に暮れた青い駱駝は
深夜のシャッターに寄りかかった
足元に青い涙の水溜り
哀しかったのはこの街

とある快晴の朝早く
青い駱駝は吊り上げられた
クレーンの腕が向かう先は
オフィスビルの最上階

航空会社の看板の空に
紛れ込んだ青い駱駝は
空を眺めて溜息をついた
街を眺めて溜息をついた

それにしても
あの空の色
わざとらしくないかな

いやいや
本当の青さなんて
誰もわかってやしないさ


自由詩 青い駱駝 Copyright nonya 2008-11-11 20:30:37
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