くもりの日
銀猫


狭いベランダで
室外機に挟まれ
見上げる空は
今日も薄灰色
夏のあいだ、
日除けに育てた苦瓜が
絡んでいたネット
くもの巣のかよわさで
ふぅわ
ふぅわ
揺れているのか
しがみついているのか
見上げた空は
今日も狭くて
とてもじゃないが
せかいじゅうの動物が
同じ空を見ているなんて
信じられやしないよ
けれどここで
ぼやいているうちにも
だれかが生まれ
真新しい
心肺呼吸を始めてるという
病院の閉鎖空間では
キカイにがんじがらめになった、
枯れ枝みたいな腕が
それを払いのけることもなく
平坦なグラフを、
描くのを待たれている
そのどちらでもない、
生まれちまった存在は
鬱々愚痴をこぼしながら
ベランダの狭さを
恨むんだ





自由詩 くもりの日 Copyright 銀猫 2008-11-11 15:36:32
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