雨とアキバとトイレの匂いと香りについての考察
紫音

秋雨というのはひどく冷たく
(ほんのりと金木犀の匂いがして)
ちょっと生っぽい
(フレッシュではなく、賞味期限切れの刺身のアレ)
トイレ、みたい
(芳香剤の匂いは金木犀らしいですよ)
だからきっと
(子どもが楽しんだりするんでしょう)

残念ながら秋葉原では
そんな匂いしないのですよ
コンクリ/メイド/鉄/汗
嫌な匂いです
人も記号になって、並ぶんです
      循環小数
 みたいに
(ここからあそこまでで一まとめ、あと一緒)
靴にちょっぴり雨が染み込むから
なんだか足も嫌な匂いです
ああ 自分が腐臭を漂わせている
 相応しい 匂い
携帯小説/青春メッセージ/刺青とへそピアス
軽くて薄くて世界最小最軽量
(文字数が内容に反比例 短歌なら良かったろうに)

  *

眼鏡で野暮ったい服装で隣の人とはよくしゃべる
似ている
誰も彼も/そこもここも/いつもいまも
矜持と関心さえ
鋳型みたいになって
(バリは出るけどね)
タンスに収納された異世界
掌で踊りましょう/掌ノ上デオドケマショウ

ほんのり甘めの醤油注し
こびりついた赤黒い粉っぽいソレ
舐めてみるとやっぱり醤油なのだけど
似ているだけではみ出しものなんだ
楊枝とつまみさえ
敬遠してしまうのだから
雨粒でも眺めていよう

トイレ
トイレ
トイレ
股の名は知らない
流されても流されても
残るよ コレ

  *

栗饅頭/秋刀魚の塩焼き/茶碗蒸しの銀杏
匂いは世界を誤魔化して


自由詩 雨とアキバとトイレの匂いと香りについての考察 Copyright 紫音 2008-11-10 13:00:58
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