書簡−カーテン−
構造

ここはぽかぽかしています
ぼくはここでこんにちはということについて語ろうと思います。
ことばそのもの自体が定着したのはだいたいが、かの国語統一
以降のようですが、そうしたものについては誰か話すひとがいるでしょう
そういうひとたちは精緻に正確な事柄をならべたてて話すもんだから
まるでマントでおおわれているようにすらおもえます。
この部屋もカーテンで覆われています。道沿いの部屋だからですが

これってまさにこんにちはそのものです。
やあこの野郎というこんにちは的表現でもって代用してもこんにちはは
こんにちはで変遷しようがない。すでに全国のみならず、この世界という
テーブルに足をのせ、ふんぞりかえっているのです。

きみをこの部屋につれてきたいとおもいます。
ぼくはたとえばそこでこんな想像をするんです。ぼくと
きみがいっしょでいるときに窓から吹く風でカーテンが揺れるとして、
ぼくたちは風をさえぎるために外にでてカーテンを必死でおさえるのです
そしてそのときに、ぼくたちはとてもやさしかったんだね、と笑みを浮かべ
そこに柔らかな陽光が差し込んでいるんです。
こんにちはに踏みにじられながら、でも到底殉教者と呼べるわけはありません
インド神話の亀だって、四頭もの象にのしかかられてよろこんでいるのですから


散文(批評随筆小説等) 書簡−カーテン− Copyright 構造 2008-11-10 02:40:50
notebook Home 戻る  過去 未来