迷いの森
百瀬朝子

静かで暗い森の中
鳥の羽音が不気味に響いて
あたしは足を止める
足を止めると今度は
茂みの方で小動物がうごめく気配
あたしの体は硬直して
動けなくなる

ここは迷いの森
迷える人間の心が創りだした空想の世界
出口はない
迷いの先に答えがないのとおんなじで
あるのは手段だけ
どうやって心の迷いから抜け出すか
どうやってこの森から抜け出すか
あたしたちはその手段を
選択するしかできない
正しい答えなんてなくて
だからあたしたちはすぐに
迷いの森に迷い込む
そしていつの間にか
迷いの森は心の迷いとともに消滅する

ああ、ほら
低いところにある暗雲が晴れてくよ
雲間からは青空が見えるより先に
太陽の光が漏れてくる
森の木々のみずみずしい緑や
揺れる木漏れ日に
気がついたあたしたちは
不気味だったその森の美しい正体を知る

もう大丈夫、また前に進めるよ


自由詩 迷いの森 Copyright 百瀬朝子 2008-11-08 17:59:26
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