ボクサー
K.SATO

負けた僕は通りを行く
のろのろと だけど進んではいた
歩いているんだ…
消えかけたヤツの瞳がまた見え隠れしている

どんな疲れた体でも
子供の笑顔 思い出しては
晴れ
手足となって歩いていった
わかっているかのようなファンたちの茂みを

俺はリングに
王者として立った
だけど天国はひき剥がされた嘘になり
ラウンドの変わるたびに逆さまになって落ちていった

敗者は俺
勝者はヤツ
そして年老いていく月日に
また大きく追いつめられた俺がいた


自由詩 ボクサー Copyright K.SATO 2008-11-03 23:22:44
notebook Home