『46words about darkside and ressentiment』
長谷川智子



「在る」
私にとっては未知の世界観。
「一般」
そこから私が弾かれている前提で言われることが多かったので
触れる度に劣等感を呼び起こさせる単語。
「膿み」
生まれ落ちた頃から、そばにあったもののひとつ。
「絵」
物心つく前から、描いていたらしい。
「親」
暗黒の、原点。
「呵責」
わたしにも、あの二人にも、ほんとうは欠けてるもの。
「嫌い」
持たざるを得ない感情。
「暗い」
目線を落とす、そこにできる影。…踏んでみる。
「嫌悪」
どうしても馴染めないあれこれ。
「混沌」
生きとし生けるものすべてがはらむもの。
「苛む」
一時だけ、こみあげてくるもの。
「死」
オールイレーズ。これだけ。
「救い」
あってほしいと、ねがうもの。
「セックス」
染色体の罪と罰。あるいは、何種かの違い。
「存在」
つねにうつろうもの。
「体罰」
野獣にさずけたもの。のちのちも、ひきつがれることが多い。
「血」
絆なんて、これで語れないんだよ。ばーか
「躓く」
人生の始まりで起らざるを得なかったこと。
「典型」
だれかの行動や性質をこれにあてはめて考えると楽になる。
「得」
だれがしたんだろうね、これから、だれがするんだろう?
「泣く」
しぜんにこうせざるをえなかった。
「似る」
私には、おぞましいことだった。
「抜く」
元の戸籍から。婚姻じゃないやり方で。
「ねちっこく」
責め続けられたこと、忘れてやるもんか。
「能書き」
私より、むしろあなたのほうが得意でしょ?
「吐き棄てる」
物言い。こんどは私がしてやるよたっぷりとな。
「卑屈」
よくなるなぁ。
「普通」
かつて憧れ辿り着けなかった。人知れずコンプレックス。
「閉塞」
世の中が目を背け続けたことからくる当然の結果。
「保身」
停滞の原因。いいかげんにしろ。
「蒔く」
人間の雄がやらかす過ちの最たるもの。
「身篭る」
人間の雌がやらかす過ちの最たるもの。
「ムカつく」
矛盾の集合体。あるいは、やつあたりしたくなる感情。
「滅入る」
闇。うごめく。きもちわるい。
「妄想」
免罪符。
「焼く」
宿願がなければあの二人をこうしていたことだろう。
「誘拐」
されて殺されてりゃよかったか。
「容疑」
いろいろとありますよ、お互いに。
「ライト」
眼つぶしにつかえる。
「立件」
できてたら、いまごろ良くも悪くもちがうところで暮せただろうな。
「累」
くそったれ。
「連鎖」
ばかやろう。
「ロボット」
感情 を うしなう。
「和」
悪循環を指すなら、叩っ斬りたい。
「を」
この字の成り立ちはたしか好かないはず。
「ん」
これで最後。


8/9/08 Tomoko Hasegawa



自由詩 『46words about darkside and ressentiment』 Copyright 長谷川智子 2008-11-03 15:16:30
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