[駐車場]
東雲 李葉

角を曲がってすぐの駄菓子屋がいつのまにか潰れていた。
代わりにそこは近くのファミレスの駐車場に落ち着いた。
お爺ちゃんが一人で住んでた築50年の家が無くなった。
代わりにそこは時間制の小ぢんまりした駐車場になった。
日本の総人口は年々減っているという。
そうなれば必然的に車の代数も減るはずだろうに。
なのにどうして駐車場は増え続けるんだ。

2丁目にある荒れた空き地が今度マンションになるらしい。
一体誰が住むというのだ。人がいなくなっているというのに。
持て余してるならとりあえずそこを空けてておくれよ。
おいら達が玄人の腕で秘密基地を建ててやるんだから。
だからそこを貸してくれよ。1時間200円も払ってやれんけど。
だけど代わりにお金で買えない子供らの声聞かせてやるから。
駐車場なんかいらないよ。マンションなんかいらないよ。
だからそろそろ居心地の良い場所をおくれよ。
公園には地球儀もブランコもシーソーもないんだから。


自由詩 [駐車場] Copyright 東雲 李葉 2008-11-02 16:19:47
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