机で眠る
オイタル

ここ二、三日
左手が肩口から固まって
Qの形で落ち着かない
机で眠る

危うく落ちて
急激に浮かび上がると
肩の周囲が一メートルほど病んでいる
そこの辺りがやっかいに絡んでいて
虫のような囁きが
頻り

 (静まりゆくグランドの上
  熱のない影がいくつも
  ゆったりと
  刈り込んだ雑草を踏んで
  青空では
  始業のベルが鳴っているというのに)

事情を聞くために
係のものがやってくる

 …どうしました?
 …いや
  肩が固まって
  それ以上でも 以下でもなく
 …動かないですか
 …いや(「いや」とは)
 …切りましょう
 …どのあたりですか?
 …一番淋しい部分を

机で眠る
天井から釣り下がる無数の左腕に
いっぱいに詰まった
ぬいぐるみと盗み見と指きりと裏切りと
あと 雨だれのような午睡と
そっとほぐしながら
一番淋しい部分に
少しずつ
耳寄せながら


自由詩 机で眠る Copyright オイタル 2008-11-01 23:10:44
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