待ち針
千波 一也



咲いてゆく音が
きこえます

川が
はじめて山をなすこころ、
そういうものが
乱れていきます


置いていかれることも
置いていくことも
じつは
まったく
同じこと

ほら、
よぞらの星はきれいでしょう

遠いでしょう



かばい合う布として
まっとうできる約束は
枯れないこと、
です

わずかな意味にも
枯れないことです



たとえ途切れてしまっても
ひとは絶えずに
棲むでしょう

やみのそこ、
もっともきれいな
ながれのなかで

その身をあらい
かがやくでしょう









自由詩 待ち針 Copyright 千波 一也 2008-10-30 12:11:46
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