蚯蚓
くろね

私は雨に浮かれ
溺れた蚯蚓
今はもう動かない

微かな夢を抱いたまま
甘い波に飲まれて沈む
此の時初めて
手足の無きことを
憾んだかもしれない
抗うためではなく
ただ泳ぎたかった

やがていつかは雲は晴れ
朝陽が私を焼くでしょう
其の時初めて
光の無きことを
憾むのかもしれない
私の生まれた
世界にはなかった

此の雨になら
濡れても好い
そう思った

此の雨になら
呉れても好い
そう思った

私は雨に浮かれ
溺れて蚯蚓
今はもう動かない


自由詩 蚯蚓 Copyright くろね 2008-10-29 23:46:30
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