木漏れ日隠れ

ひかりが
少しだけ怖くて
それでも そそいでほしくて
手のひらで
さえぎったことの
後悔が
指先からこぼれて
すこしずつ 
私の影が濃くなってゆく


まぶしさが
嫌いで
生まれた場所で
ずっと
笑っていたくて
けれど
そこは暗くて 
地面だってなかったから
私はドアを開け
どこか を探して歩いた
影を踏みしめながら
ゆっくりと
土の上を歩いた


疲れても 
体を前に倒して 進んで
いつだったか
ようやく
たどり着いた気がした時
そこには確かに
根があって
幹があって
背中に感じる熱があって

大きく息をはいて
見上げると
大きな枝の隙間から
薄くのびるように 
ひかりがこぼれて

私は
その風景の中で
その優しいひかりと影の中で
少しだけ隠れて
少しだけのまぶしさとともに
生きていけるような気がした


けれど
大きな影の中で
ひとり立っている私の
その小さな影は
なぜだか濃くなってゆくばかりで
灰色がかった茶色の中に
私の黒が
くっきりと浮かびあがって
どこまでもついて来てしまう


どうしてだろう


私は
どうしても
少しだけ怖くて
それでも 帰りたくはなくて
木漏れ日の下
変われずに 歩き続けている
変わらない 白く霞んだ空を見上げながら



自由詩 木漏れ日隠れ Copyright  2008-10-27 22:50:57
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