絶叫
こしごえ

ちいさな死骸を排水溝へ流す。
おまえは、透きとおる水晶のようにきず
をかかえてそこを流れてゆくのか

哀しみに囚われたひとつの流れを
純粋無垢なひとみがこおりついている
このこのちいさなむねは、いまなにを
直視している

叶えられなかった無言の叫び。
朝の光に
いつくしみに
この限りある、生命に
礼を尽くそう
(さようなら)といまのわたしをみつめ

お風呂掃除は終り。
流れ去ったものが
ふたたび降って来る時があれば
再会の沈黙を晴れわたる
雲の上
日輪の咲きほころびる

このこがことばを失った日は、
しずかな雨であった。
偽りは偽りを呼ぶ
であるからといって
真実が真実を生む とは限らない
黙視することも、一種の告白だ
それこそ 深く残酷な空のように

届け届け うしなわれたいのちに
いのちは脈脈とつづくたましい
風光る流れの

ふちのない宙から降ってくる雨つめたく
ひとり絶叫にぬれるわたし
ぬれていく影の遠いひびきはわたしに告げる
(このこはおまえの、
きずついたおもかげなんだ)。と










自由詩 絶叫 Copyright こしごえ 2008-10-27 09:11:47
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