歌わない小鳥
星月冬灯


 歌わない小鳥を生かしておいても

 どうなるでしょうか。

 捨ててしまえ。

 殺してしまえ。

 生きる価値がないのなら

 いない方がよいのです。


 歌わない小鳥はどうして

 歌わなくなったのでしょうか。

 声を潰されたから。

 目を潰されたから。

 歌えないのなら

 いない方がよいのです。


 歌わない小鳥は生きる必要が

 あるのでしょうか。

 舌を切ってしまえ。

 翼を剥ぎ取ってしまえ。

 例えいなくなっても

 誰にも気付かれないのなら

 いない方がよいのです。


 小鳥は歌わない、飛ばない、歩かない。

 欲の無い小鳥は潰してしまえ。

 潰された小鳥は堕ちてゆく。

 堕ちてゆく・・・。


自由詩 歌わない小鳥 Copyright 星月冬灯 2008-10-25 09:53:05
notebook Home