蕾のココロ
さくら
昨日見た夢を思い出せなくて
描きかけた画用紙を白紙にした
ひどくのどが渇く
あなたの輪郭が霞むころ
部屋に残った器は
あなたのかたちをふちどったりするから
急いで水を注いだ
いつまでたっても
満たされることのない海に
水平線という名前の線を引いたのは
なぜ??
空の色を何度も確かめ、
水の温度を互いに
確認しあっていたあの頃に
大人を忘れて
砂浜に翔って行って
お互いのからだをキャンパスにして
ふたつ感性を重ね合わせた
あの夜に
あなたの笑顔を思い出そうとしても
あなたは影を置いていかない
耐え忍ぶ蕾のような
静けさを覚えた
ふゆには、もう、
あなたの輪郭が霞むころ
乾いたのどの奥で
行き先を失った水が
溢れている。