空中ぶらんこ
佐野権太
遠い空とつながったきみが
小さな点になる
それは消失してしまいそうな
さびしい孤独であるのに
ふしぎな水色に輝いている
逆さまから立ち上がるときのきみは
やさしい速度でやってくる
淡い吐息で雲をつくりながら
それは新鮮な水分を含んだ
一編の詩である
止まっているように見える
しゅんかんを
つかもうとすれば
残像をつきぬけてしまうから
きみのいとしい温度に
胸をあたためながら
遠ざかる
自然なふりこの原理にしたがい
美しい弧を描いて
きみがやってくる
着地するときのきみは
鳥が羽をたたむやり方に似ている
きみと
手を取り合って
ひだまりをついばみながら
みゅうみゅうと遊ぶ
その
いっしゅん