Lost Summer
マチムラ・トフト

砂のついたビーチサンダルは所在をなくし
流れ着いたガラス瓶の手紙が
いつまでも私の後を追ってくる

清い螺旋形を描いて落ちていく秋に
いつも尋ねることは
指先の業火を消す方法

白樺のドアにいつも
外出中の札がかかっているのは
あの日無くした窓辺のぬくもりを
探しに行っているから

色彩が南の国に去った後
浜辺にはただモノクロの幻影だけが
二人佇んでいる


自由詩 Lost Summer Copyright マチムラ・トフト 2008-10-23 06:50:17
notebook Home