[狼男]
東雲 李葉

街が僕を喰らい尽くすから
夜明けまでに気丈な心を買わなくては
働いても働いても胃の袋は満たされないけど
学んでも学んでも空の頭に塵が溜まる

僕は搾取される側の人間だ
恐らく大半がそうなのだろう
上手く出し抜いたつもりでいても
所詮は甘汁を啜る者らの蜜集め

どうしようもなく空虚だ
金を使っても何も手に入らない
街は稼げ使えと僕を蹴飛ばす
倒れこんだままもう動きたくない

動きたくない石になりたい
物言わぬ貝になりたい
美しい獣になりたい
死肉を喰らわぬ獣になりたい

声を聞かせろ名前を呼べ
僕は誰で何でどうして こんな
こんな明るい街で ひとりぼっちで
声を上げて泣いているんだ

誰か僕を人間にして
誰か僕を獣にして
こんな汚い場所で ひとりぼっちで
声を上げて吠えさせないで

誰か満月の晩に迎えに来て
僕が誰で何でどうして
こんなになきたくなるのか知りたいんだ


自由詩 [狼男] Copyright 東雲 李葉 2008-10-22 23:52:09
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