人指し指から、お願いします
小川 葉

 
ひとさし指で手紙を書く
砂のうえに
潮が引くときだけ
ゆるされる

返事が来る
潮が満ちるときだけ
あなたから
光と光の
波にさらわれる

こぼれた文字の
貝殻をひろう
ひと文字ずつ読むように

すると
海はいつも瞼から
ひとさし指へ
零れてゆく
 


自由詩 人指し指から、お願いします Copyright 小川 葉 2008-10-20 01:10:12
notebook Home