ザ・ブーンンンンンあ
砂木

届くのかなあ ぷくぷくぷく
最後の空気をこぼしながら
サンダル船長さんは言った

届くさ
サンダルと旅をしてきた岩のかけらは
ひらりと水に舞いながら落ちていく

もうすぐ深くひらかれるよ

岩のかけらさん 故郷のような
大きな岩に帰れないね
帰れなくなってしまったね

サンダル船長さんたら どこをみてるのさ
故郷は ここにある
あの大きな岩には 旅する者達がよく休んでいった
翼のある者 折れた者 尾のある者 尾だけとか
いろんなものが旅の途中に腰かけた
一度私も まねしてみたかったのさ
いつか水の波に砕かれて消えようとも
なんてね ありがとう さあ

ちかりちかりと水に崩れながら 岩のかけらは言った

私の上で休むといいよ もういい おやすみよ

かけらさん

水に砕かれようと私は私だ
お眠りなさいな 歩かせた者よ 歩んだ者よ

ゆめで あおうと
ゆめであいたいと
いっていたよ
どうかゆめで 

夢であいたいと 必ず

いやよ夢なんて

そんなこと言ったって無理なんだよ
信じてやりなよ 砂郵便

いやよ

あああ 泣いたらもっとずっと埋まっちゃう
世界が崩れちゃうよ
もしかしたら夢って嘘だと思ってないかい

そうでしょ 夢で会ったって会えない事でしょ

砂の言う事は信じられないって あっそう 
頭が硬いっていうか 救いようがないっていうか
まあ どちらにせよ どちらさまもおやすみなさいな

いや
助けてくれないで ごまかさないで
いやという気持ちにしか
ほんとの姿はいないのだから
私を助けないでこのまま
このまま消して
なぐさまないで
消して

なぐさめてなんかやらないよ
信じなさいよ より強く
強く強く求めなさい
よき夢を 夢という未来を


自由詩 ザ・ブーンンンンンあ Copyright 砂木 2008-10-19 20:37:58
notebook Home 戻る