酔う
かんな
今夜はブルーベリー酒で、一杯
甘ったるいお酒が好きです
そうして甘ったるいことばを吐く
大した意味などないけれども
わたしは甘ったるさを舌で転がしては
その中に辛さを味わおうとする
グラスの奥底には
沈殿したリキュール、それは紫色の
マドラーがないのでストローで
クルクルとかき回すと渦巻く真意とやら
使ってみるけれども、つじつまの合わない
ことばばかりが空回る
つーっと喉を潤していく液体の
群れの中に、そうして
辛さを見つけることはできないけれども
わたしという女の薄情さは
飲み干したグラスを置くたびに
いくばくかの過去を追い払うと
はんなりとした余韻にひそむ
ほんの少しのスパイスのような現実に
酔わされていくのです