日曜日は寄り添って
ふもと 鈴
動物を観る人だかりふくらんでどちらも命を生きる不思議と
脱力をカラダに命じているのだと池の端には片足の鳥
蓮の葉は秋の陽広く受け止めてどこかに放つことなく黙る
犬を連れ遠く見つめる老夫あり気にも留めずに人の過ぎ行く
白くまの顔だけぐおんと突き出すを観ているうちに力は抜けて
猿だけは自由に時間を切りさいて檻にいるのも忘れるみたいね
ひょこひょこと足を器用に動かして時間を追い越すアルマジロ
動かずに存在ふわりと突き放すペンギン群れて風の吹きこむ
丘の上の外人墓地から覗きこむ過去も今も混じった足元
坂道をのぼる一歩はそれとなくわたしをぎゅっとつめこんでいく
せっせこと動く鼠を目で追えず減速するのは生きる速度も
音楽に香りをつけて本を閉じ自分の中には何もいれない
夜の風からだに受ける感触とビールの泡を飲む心地よさ
交差点わたるときには持ち寄ったわたしはすぐに拡散するわよ
もう一度秋を解体するのだと風の冷たさ凛とひびく
散文にしようと思って嘘ぶいたソネット一編返してほしい
坂道をくだると同時に運の良くたまった涙はこぼれてしまった