日曜日は寄り添って
ふもと 鈴


動物を観る人だかりふくらんでどちらも命を生きる不思議と

脱力をカラダに命じているのだと池の端には片足の鳥

蓮の葉は秋の陽広く受け止めてどこかに放つことなく黙る

犬を連れ遠く見つめる老夫あり気にも留めずに人の過ぎ行く

白くまの顔だけぐおんと突き出すを観ているうちに力は抜けて

猿だけは自由に時間を切りさいて檻にいるのも忘れるみたいね

ひょこひょこと足を器用に動かして時間を追い越すアルマジロ

動かずに存在ふわりと突き放すペンギン群れて風の吹きこむ

丘の上の外人墓地から覗きこむ過去も今も混じった足元

坂道をのぼる一歩はそれとなくわたしをぎゅっとつめこんでいく

せっせこと動く鼠を目で追えず減速するのは生きる速度も

音楽に香りをつけて本を閉じ自分の中には何もいれない

夜の風からだに受ける感触とビールの泡を飲む心地よさ

交差点わたるときには持ち寄ったわたしはすぐに拡散するわよ

もう一度秋を解体するのだと風の冷たさ凛とひびく

散文にしようと思って嘘ぶいたソネット一編返してほしい

坂道をくだると同時に運の良くたまった涙はこぼれてしまった


短歌 日曜日は寄り添って Copyright ふもと 鈴 2008-10-18 23:55:30
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