選び取られた二冊の本
kauzak
僕は何の脈略もなく選び取ったはずだった
図書館でその彫刻の本を手に取ったのは
静かで凛とした佇まいの彫刻が気になったからで
図書館でその詩集を手に取ったのは
背筋を伸ばして凛と生きた作者が気になっていたからで
こう書きながら「凛」という言葉で
緩やかに繋がっていることにやっと気付く体たらくだ
無意識の力
彫刻の本の巻頭に一緒に借りた詩集の作者が言葉を寄せていることを驚く必要はなかった
彫刻の本のあとがきで作者が旧知の詩人と紹介しているように感性が引かれ合っただけだ
詩集を読みながら
詩が描き出す空気と
彫刻が削り出した空気が
似ていることに気付かされる
選び取った意識もないままに
選び取られた二冊の本は
それ故に必然を内包していた