遠景
nonya


11階の窓を開け放つと
薄荷水のような冷気が部屋を満たした
忘れたいような忘れたくないような
何処かが沁みたからつい遠い目をした

11階のベランダに立つと
雲の戸惑いが見えるような気がした
晴れたいような晴れたくないような
少し意地っ張りな君の背中に似ていた

空が広くなると
見えなくていいものまで見えてしまう
あの微かな稜線の向こうに君がいる

空が遠くなると
胸の中が隙間だらけになってしまう
マグを両手で包みながら君を想う


自由詩 遠景 Copyright nonya 2008-10-18 18:51:46
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