返照
伊月りさ

陽射しが勝ち誇っている
圧倒される肌や
追いやられた雲たちを見まわして
自惚れている
晴天に
傘、

傘を抱えている、
チラ、不審、チラ、白い目、が、チラ、チラ、と、
きみの傘、
青空、
わたし、
構うものか、白い目、いくらでも、不審、投げつけろよ、
きみに借りをつくっている時間を早く棄却したい、
わたしを、
晴天は見下ろして
ビニールの透明を羨んで
焦がそうとした
わたしの
骨の熔解、
皮の熔解、
きみに守られたくなどない

一刻の猶予もないので
享受する
力ずくの熱で
発生する化学物質がきみの傲慢、
異臭に
わたしは豪雨を駆け抜ける
鉄の片足を
手に入れた
片足の骨は照りつけられていて
触れられないほどに熱くなる

埋められない半年にきみが蓄えたもの
が再利用のように羽を拡げて
わたしを穿つ雨天に立ち向かおうとする
色のない
膜には錆が転移している
膜を脱せない
わたしは悔しくて
歯を立てた下唇に滲む血を
陽は反射して
この部屋は夕暮れになる


自由詩 返照 Copyright 伊月りさ 2008-10-18 11:38:03
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