丘の上のまりあ象 
服部 剛

暗天の下に荒れる 
大海原に背を向けて 
丘の上の白いまりあ象はうつむいて 
一人の幼子を抱いていた 

長年の雨や泥に 
汚れた背中を隠しもせずに 
只、一人の幼子を守ることのみが 
自らの使命であるように 

生きるほどに汚れゆく姿を 
すぐに隠そうとする私は 
丘の上にいつまでも立つ 
まりあの姿を仰ぎ見る 

私はそっと
両手を胸にあて 
瞳を閉じる 

たった一つの
目に見えない宝を 
守るように 





自由詩 丘の上のまりあ象  Copyright 服部 剛 2008-10-15 17:05:04
notebook Home 戻る