生き抜くために死んでいる/きんいろの森/きんいろの波
石田 圭太

ふたしかな水を生きて
行方のどこにも底がない


くうかんを蹴りあげて
足音を確かめる
ひかりは、
柔らかくかげを踏んで
どこか遠い国になった。



どこまでも水。
ぼく達は
はじまる時に発光して
それが最初で最後だから
盲目のさかな
覚えている
幾つかのことがら
たくさんの種を
植える場所がなくておそろしい。



どこまでも水。
砂はうそで
歩くことがむずかしい


なみだは溶けてあてにならない
音は上手にはぐれていく
終わればほねはどこにいくのか
からだ中でまばたきをして
肌におさめる
戻る必要のないように


どこかでたましいが
おだやかに発光をはじめる
うまれるまでのぜつぼうが
ほそながく
くうかんを切り解いて
頭からまんなかに押しながす
いのちが水を弾き、
弾いた水にひかりがうつる
拡がる波紋
うみだされる無数のひかり
ぼく達はイメージができる
まるくおおきくせかいのことを
思い出して蹴りあげる
盲目のさかな
きんいろの森、きんいろの波
美しいひかりの魚群



自由詩 生き抜くために死んでいる/きんいろの森/きんいろの波 Copyright 石田 圭太 2008-10-14 22:25:18
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