reflecting telescope
あすくれかおす




だれかに渡した
忘れたいことば
ところで迷子の
君はだれなの


たどたどしいこと言うときに
間近で近づいて
チ カ ヅ イ テ
力になりたくてと
うそをついている
鼓動がゆらす両目に
メニメニ
さざ波
反射させないように
表面じょうずに 
にごくらかして
だれかの笑顔にしているね


そしてそ 
シテシテ
次にくる波
ア ラ ナ ミ
あらましを知っているから
たたきこわそうとしている
夜を振り切るようにして
落ち着かない音で
音の主
わたし
力強い
声をはってみて
小さい身体をみとめて
とうとうとうと
乱れて歩く


・・・・

車内アナウンス
「あんどんは
あんにんどうふの略にはなりません」

・・・・


深夜は時をあつめて
164時を知らせる
294号線に
追いつきたかったんです

無理の神様
あるいはロードムービーの神様
ねえお願い
時間が道のりをこえますように


夜は
少しずつ肌を柔らかくする
気のせいの衣擦れや
確かめるような心や


私たちは
もう
忘れてしまえばいいと
思っている
ぜんぶぜんぶが
ゼンブのウブが
独りになったらぶり返すから

恐がりな思いが
あふれだして
私は今
異様に静かだ


みとめられた光が
蒸発しそうな生きものを包んでいる
象のくるぶしを面にあらわし
老婆が笑う


ひとつぶずつの砂糖粒
つまんであつめるようにして
今夜を分かち合いましょう
あやふやな気持ちで
何十年をかき混ぜる仕草
けれど確かだ
期待している
これからの日々を

ことばの裾に
点されたかがり火が
風にあおられ
広がっていく
息づかいのさきに
見える
つぶやきのたどり着く場所


とうと
うとうと
光が大切であると
ひとりまどろみ
つぶやいてみる
草むらに落としてまわる
この日のそれぞれ
風にひろがるように
小さなかがり火を点そう
もうよそう
おおよそ
先に見える場所の
明るさに従うのは
受け止めたいのは
力強い
ここからはじまる
君たちの声






自由詩 reflecting telescope Copyright あすくれかおす 2008-10-14 21:12:58
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