十月のひと
恋月 ぴの

今月なのは間違い無いのだけど
確か二十日頃だったよね

金木犀の甘い香りは
あのひとの痩せた背中を映し出してくれるようで

ひとたび心離れてしまうと
あれほどに固く結ばれていた思いまで
こんなにもたやすく解けてしまうものとは

便箋の色合いに気を配りつつも
お元気ですか
そんな当り障りの無い書き出しに戸惑う

ほんの気まぐれなのかも知れない
温もりが恋しいだけなのかも知れない

戻り得ぬ肩の触れ合うその先に
秋の日は思い煩う空の色



自由詩 十月のひと Copyright 恋月 ぴの 2008-10-13 23:04:38
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