つきの夜の歌

「つきの夜の歌」を歌ってと君はいった
そうじゃなくて 第二楽章のほうよと君はいう


ららるあ つきの
夜にすむものたち
うたをうたいなさい
ららるあ 
つきの ひかりの

うたを


橋の上で月を見る
石の橋だ あたらしいコンクリートの
雨の降ったあとの川は
カエルの潰れたやつみたいなにおいだと
君はうたうようにわらう。


ららるあ つきの
夜にすむものたち
うたを かなでなさい
ららるあ
銀の
笛で

しずかに


僕の肩越しに指さす
あれは こいぬ おおいぬ
うしかい とかげ かしおぺあ
星の名前をかぞえて うたう
君の髪の毛を風が梳って
薄い 石鹸水の匂い


ららるあ つきの
夜にすむものたち
うたをささげなさい
ららるあ
つきが よろこぶ

うたを


月が近づいてくるのよ
月はみちてゆくのよ
からだの中がざわざわ、波打つ
君はそういって しくしくないた
君はそういって つめたい肩をふるわせた


ららるあ あかるい
つきのもとで
うたをうたいなさい
ららるあ
やさしい しろい 

うたごえ


明るい月だ
帳が下りるように
夜の時間は流れていく
細く細く ガラスの液体になって
水色と翡翠色と透明が
ほどけるみたいに
君が夜の空にのぼってくのを
僕は確かに みた


自由詩 つきの夜の歌 Copyright  2008-10-13 21:44:13
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