なき雪
かんな

海岸にたたずむと
なぜだかいつも
雪がふる

手のひらに
結晶の一つがのると
出会いだ
と勘違いしては
スーッと溶けてゆくと
別れだ
などと悲しがる

雪がつもり
薄っすらと海岸を覆うと
サクっと踏み込む
きゅうと鳴く
残った足あとは
何だか
さみしさを知らない
あざのようでいて
流れる
波に移ろいながら
泣いている

過ぎていく
季節は
憔悴していて
手のひらに残った水滴を
ひと口
舐めてみると
ただしょっぱい



自由詩 なき雪 Copyright かんな 2008-10-13 20:15:38
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