その日
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その日オレは友人の家で例によってダラダラといつまでも呑んでいた。
翌日仕事のある友人が寝てしまったアトもだ。

その頃オレはガチンコの無職で、生きて行く事の大変さがちょこっと分かって来たような気になっていた頃だ。
念願の1人暮らしを始めたはいいが、とにかく仕事が決まらなかった。
このオレの100万ドルの笑顔と快活な振る舞いを持ってしても雇ってくれるところが無かったのだ。
何連敗したんだっけな。あんなに雇ってもらえないなんて想像出来なかったよ。

その中でも1つだけ決まりそうな仕事があったんだけど、ソコは1日で辞めてしまった。
建物の床下に付ける換気扇を売りつける会社で、床下にもぐれる人って条件が書いてあった。
給料も良かったので行ってみたら、メインの仕事は電話での勧誘だった。
まず電話で床下の無料点検の約束を取り付ける。そんで出向いてって不安を煽り商品を買わせるって寸法だ。

この電話営業がツライ。そして自分に営業は出来ないってコトを知った日だった。
一通りの謳い文句を教わったら電話帳を渡され、ヒタスラ電話をかけまくる。
壁にはバッチリ棒グラフ。朝礼の時に業績が少ない人たちはクズ扱いされていた。
そんで結局丸1日かけて1件も取れずに終了。
って言うか始めて2秒でもう無理だと思ったけど、1日やらないと給料もらえないし。

そんな風などうしようもない日々を送りながらも、仕事なんていつでも見つけられるサ‥とタカをくくっていたのだが、100万近くあった貯金の無くなる早さの凄まじさに狼狽し、コレはもしかするといよいよヤバイコトになって来たゾ‥
と言う不安をアルコールでごまかしている最中だった。

その映像は出し抜けに流れた。
コレは映画ではありません。と興奮気味に言っていた。
オレはふやけた頭で何となく凄いことになってしまっているのを認識しつつも、
やっぱり働くなら女の子がいるとこのがいいよな‥などと意味のない考えを巡らせていたんだ。
そしてもう1つの悩み事は、今寝ている友人を起こしたほうがいいのかどうか。と言う事だった。

過ぎてゆくのは時間だけではないのですね。





散文(批評随筆小説等) その日 Copyright BOOKEND 2008-10-10 08:55:25
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