イカロスの翼
星月冬灯
遠い 遠い
ギリシャのイカロス
蝋で作った重たい翼
太陽の熱で溶けて
あわれ イカロス
まっさかさま
昔 昔
ギリシャのイカロス
一生懸命作った蝋の翼
我が身を振り返らず
あわれ イカロス
まっさかさま
どこまでも どこまでも
堕ちてゆくイカロス
父は天から見下ろしている
涙を流してももう遅い
後悔してももう遅い
あわれ イカロス
まっさかさま
堕ちて 堕ちて
どこまでも
堕ちた先は地獄の果て
己を顧ず
驕った罪
あわれ イカロス
もうたすからない
一生 重い鎖に繋がれて
一生 天の恵みも受けられず
真っ暗の中で
生き地獄
やがて声嗄れ 体枯れ
それでも許されぬ
重い罪
父の声も届かず
ああ あわれ
死んでも鎖は外されない
重い 重い
鎖を引き摺って
いつまでも生きてゆくがよい
イカロスよ
あわれ イカロス
恥じるがよい