「 未視感。 」
PULL.







口をただ開きこの舌からことばが剥がれてしまえばそれでいい。


縫い付けてしまったまぶたの奥でさえ眼球は既視感に溺れ。


うなぎが点滴を溯るそろそろですねと看護婦がうなずく。


鍵穴から眼を出して失くした耳を探してるおれはかたつむり。


庭に生えた足の裏くすぐりとおくアルゼンチンの笑い声を聴く。












           了。



短歌 「 未視感。 」 Copyright PULL. 2008-10-09 09:43:17
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