消去
伊月りさ
きみの合鍵を駆使する
ひとつの過去が
忍び込むその、とき
を
怖れているはずなのに
無抵抗に引きずり込まれる、混同する
きみの残酷さは少年で
叫ぶ
わたしの幼さはあまりに過去で
追い出して
そのドームならわたしが
どこまででも牙を生やして
壁際、押さえつけて
噛みついて
噛み切って
噛み殺して
ここになにも残させるものか、と
遠い天井まで跳ね上げる
氾濫する衝動がある
いま、この
暗闇は無様
支えきれないからもう
消してあげてよ、だなんて
優しいひとが欲しいのなら
有機物にするのだろうが
わたしにすれば
きみを一緒に消すことも
厭わないだろう
から
なんにも残らないよ、と
子どもの忠告
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落下光