自殺から生きるに至る過程
doon


 ちょっとだけ生きてみよう
 明日だけ
 読みたい週刊誌が発売されるんだ
 ちょっとだけ

 もう少しだけ
 今月末には好きなアーティストの歌が発売される
 聞いてみたい
 今回は特に迫力があるっていうじゃないか
 もう、ほんのちょっとだけ

 好きな子がいた
 告白なんてできなかった
 でもいい
 もてなくてもいい
 死んでしまいたいとあれだけ強烈に
 願ったのだから
 一人で生きていくぐらいなんでもない
 どこかで死んでもいいなら
 いつ死んでもかまわないだろう
 死神ならいつでも僕の首を狩ってくれる
 そう
 運命とはやっぱり唐突に

 駅前に行列のできるケーキ屋ができたんだってさ
 食べてみよう
 今日食べられそうもなかったら明日
 明日来てみればいい
 少しだけ

 泣きたい日があったらうんと泣けばいい
 クスリと笑いたくなったら笑えばいい
 眠くなったら寝ればいい
 ちょっとだけ
 明日へ行ければいい

 殆どを忘れるほど辛かったことを
 僕はそうして生きて
 私はもう
 あの頃より十年以上生きている
 あと、 ちょっとだけ

 明日の空はきっと
 今日では決して見れない美しい空がある
 見上げた空は青かった
 何処までも雲がなく
 何処までも透き通った
 嘆く人全てを包む
 優しい青だった 


自由詩 自殺から生きるに至る過程 Copyright doon 2008-10-06 03:06:35
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