夏至過ぎて
喫煙変拍子


擦り切れて ニコチンで黄ばんで
髪が抜けて 左手のない人形だけど   

ちょっと笑った気がしたんだ


ウソ  
ウソをついた  
っていうウソをつく僕のすぐ横で 
網戸にへばりついたセミが力尽きるように声を停止させる
寿命?
クスリと笑った
誰が?
僕と彼女

机の端っこギリギリに置いて
お母さんが挽いてくれたコーヒー
わざと揺らす
わざと揺らす
円形の水滴が右往左往
寸前で落下はしない
それほど強くは揺らさないから

ジリジリジリジリ鳴り止まない
お父さんが叩いてくれたほっぺた
セミは?
鳴り止んだ
寿命?
僕と彼女はクスリと笑う


振り払うように背伸びしたって 
天井はもっともっと上 
太陽はもっともっともっと上


嫌になった僕は
気を失った様に
バタン
ベットに倒れこんで
一生起きない
かもしれない
とたん
腹の虫が鳴って
それはセミの鳴き声に似てて
左手のない彼女が

ちょっと笑った気がしたんだ



自由詩 夏至過ぎて Copyright 喫煙変拍子 2004-07-31 11:40:09
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